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1.概要
日本将棋連盟の奨励会では定期的に奨励会員同士の対戦を行っており、この度 Nuorium Optimizer のメタヒューリスティクスエンジン wcsp がその対戦スケジューリングシステムに採用されました。
一日で対戦は最大三回行われ、その対戦の結果(勝敗)が次の対戦スケジュール作成に影響を及ぼします。 そのため手作業で行う場合は、ある程度の試合結果のパターンを考慮して対戦スケジュールを作成しておかなければならず(特に一日のうちの二回戦目、三回戦目)、これまで奨励会幹事(プロ棋士)の方々が非常に苦労して作成してきました。 このように、この対戦スケジューリングシステムは一日のうちに何度か解かれることになるため、ある程度の短い時間(長くても数分)で計算結果を出すことを要求します。
開発においては、実際にスケジュール作成を行ってこられた奨励会幹事の方々との打ち合わせを行い、理屈での整合性だけでなく直感的にも優れた結果を出し、実際に使えるシステムを作成することに努力しました。また、どうしても定式化できないルールに関しては、ユーザが固定対戦を設定できるようにして、システムの自由度を増やすことによって対応しました。
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2.主な考慮対象
- 段級位
- なるべく同一段(級)同士が対戦する
- 例外を除き段位者と級位者は対戦しない
- 異なる段級者と対戦する際は著しく上位(下位)の相手と対戦することを避ける
- 禁止事項
- 過去 20 試合同一の相手と対戦をしない
- 重要な試合では同門の弟子同士を対戦させない
- その他
- 休み番を固定で設けることができる
- 入力で、ある対戦を固定することができる
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3.システム構成概念図
本システム導入以前、奨励会員のスケジュール作成及び台帳管理は Excel を用いて行われてきました。開発の利便性や実用化に向けてスムーズに移行するため、以前まで使用されていたフォーマットを踏襲してシステム作成を行いました。
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4.Excel GUI (プロトタイプ版)の表示例
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